成年被後見人の不動産処分

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家庭裁判所の許可

認知症の高齢者で後見人(司法書士、弁護士)が選任されているケースでは、面倒を見てくれる親族がいない,または近くに住んでいないことがままあります。後見人は、家庭裁判所が選任してその監督の下で成年被後見人(認知症老人等)の財産の管理を行っていますが医療費、介護施設の費用など大きな出費が嵩むと被後見人の金融資産(預貯金)が減ってきて「この人が生きている間の費用を全部賄えるだろうか。」と不安になってくることがままあります。

そこで被後見人の処分できる財産はなにかあるのかと探してみると、誰も住まなくなった不動産だけが残っているということがよくあります。が当然のことながら後見人は勝手に処分することはできません。家庭裁判所の許可(審判)を受ける必要があります。しかし、家庭裁判所が許可を出すためには以下の証拠を提出してもらい審判(判決)を受ける必要があります。 

  • 不動産を処分することが必要である理由
  • 不動産の売却価格が適正なものであることを示す客観的な証拠
  • 売却の方法、条件などが被後見人にとって不利なものでないこと

このページで掲示している写真は、弊社が実際に司法書士の先生から売却手続きを受任した事件の審判書です。(個人情報、物件を推認できる部分は黒塗り) 被後見人は、70代の男性で認知症の方でした。結婚はしておらず、子供はいない。親族は、母親と兄だけでしたが既に死別して相当年数が経過していました。不動産は、46坪の古家付土地で建物は築後60年弱経過しておりリフォームしての再販はできないと判断しました。

(有)タケミは、司法書士の先生と話し合い①査定書(公示価、路線価、売買事例等)を作成すること。②地場で経験豊富な大手建売業者さんに声がけして「期日指定の競争入札」を行うこととしました。

この事例では、最初に作成した査定書では価格は、4435万円でした。家庭裁判所には、この査定価格が通常の市場価格であると説明し査定書も説明文書として提出いたしました。もちろん、ウソ偽りはなく公示価、路線価、売買事例からその程度の価格が妥当であると私達(司法書士、タケミ代表)も考えていました。高値がついても5000万円程度とも考えていました。

しかし、この不動産を複数の建売専門会社に声を掛け競争売却を行ったところ6700万円の最高入札価格が付き売却の運びとなりました。予想価格の150%相当の金額です。5つの会社に参加を打診して1社は入札期間中に辞退しましたが、残りの4社での競争でここまで金額が伸びるとは正直思ってもいませんでした。

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